【映像翻訳の沼にハマる】第8回 都合よく使わないでくださいな&興味のない分野を訳すつらさ

あんにょんはせよ^^
現役韓日映像翻訳者JUJUのウェブコラムへようこそ!
1年以上もコラムを書いてませんでした…
書きたいことはたくさんあるのに…
ということで今回も最後まで読んでもらえたらうれしいです^^

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都合よく使わないでくださいな

今回お話しするのは暗黒の低単価時代(韓国の会社とだけ仕事していた頃)のことです。
日本の会社と取り引きしている今も感じていることではあるのですが、単価が低い取引先ほど、求めるものが多い気がします。
暗黒の低単価時代は、急に納期を短縮されたり、急ぎの案件だけど高品質で納品しないといけないからあなたに頼みたいと言われたり(もちろんそれに伴う単価UPはナシ)ということは時々ありました。

そういったイライラ案件の中でも覚えているのが、年末でどうしても翻訳者がつかまらないからとチェックの仕事をしぶしぶ受けた時の話。
歌の部分は字幕がなく、それ以外の話している部分だけに字幕があるというタイプの素材でした。
急ぎの案件だということで時間を作ってチェックしたのですが、納品したあとになって、今回の案件は字幕の尺の分だけ支払う案件だと後出しで言ってきたのです!!!


いやいやいやいや、それなら先に言えやという話ですし、字幕のない部分もチェックしていたからこそ気づけたミスもあっただけに、さすがの私も(さすがの?)食い下がれませんでした。
結局、話し合いの末に映像の尺の分きっちりお支払いしてもらいましたが、こういう後出しで大事なことを言ってくるということも結構あったように思います。

その他に覚えているトンデモ案件は、私がこれからチェックをする番組について、私がチェックをしていない過去回にどういうミスが多かったのかをエクセルで整理してほしいというものでした。
なんと無報酬!!!!!!!!!
これからチェックする側としてはそっちでまとめてもらって共有してくれません?と思ったのですが、まあ自分に必要になる資料ではあるしな…と思って応じてしまいました。(今なら絶対にそんなことはしません。)
自分に必要な資料だとしても、自ら必要性を感じて作業して自分だけがそのファイルを持っているのと、取引先に資料を作成するように言われて作業・共有するのとでは全然違いますもんね。
改めて思い返しても悔しいです…。

ちなみに今の取引先は、映像翻訳の付随作業みたいな部分にきちんと追加報酬を支払ってくれる会社さんもあります。
全ての取引先ではありませんが、私もやはり人間なので、同じ時期に打診を受けたらそういう取引先の仕事を受けてしまっている気がします。(当たり前?)
“この付随作業もお願いします~”みたいな感じで報酬について提示がなくても、勇気を出して聞いてみたら、“見積提示してください!”と言ってくれたこともあったので、もやもやしながら仕事をするよりはひとまず聞いてみるのもいいかもしれません。

興味のない分野を訳すつらさ

私は案件を受ける時、単価やスケジュールの都合で断ることはあっても、“苦手だから”とか、“翻訳したことがないから”という理由では断らないようにしています。
なので興味のない分野の作品を訳すことも多いです。

私はミーハーな部分があるので、興味のなかった分野でも翻訳し始めると興味が湧いてくることが結構あります(笑)
そういう時は仕事の時間以外でもその分野の情報を集めるようになるので、結果的に翻訳にも役立つことが多いです。


でもどうしても興味の湧かない作品もあるわけで、そういう時は結構キツいです(涙)
背景知識がない(増えない)ので、調べものにも時間がかかるんですよね。
言わんとすることを理解するまでにも時間がかかります。
それでも仕事なのでベストを尽くすのですが、興味がないと本当につらいです…。

ということで、興味のない分野にあたることは多いので、日頃からいろんな分野に広く浅くでも触れておくことは大事だと思います。
映像翻訳者になってから意識して行っていることは、“興味がない誘いにもできるだけ乗るようにする”ということです。
家からほとんど出ない私の場合、興味がないことに誘ってくるのは大抵夫なのですが、私が興味のないドラマや映画でも夫が見たがっていたら見るようにしたり、興味のないデートに誘われてもついていったり、そういうことを心がけています。(まあ、毎回ではありませんがw)

実際、そうやって韓国の昔の映画・ドラマ・音楽・歴史・スポーツの知識が蓄積していったと思います。そういう背景知識が増えたことで、たとえばパロディーに気づけたりだとか、検索のしやすさにつながったりだとか、仕事の役に立ったことはたくさんありました。アンテナを張りながら生活する、それが苦にならない人、というのは映像翻訳者に向いてるのかもしれません。


【映像翻訳の沼にハマる】第8回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回の更新もお楽しみに!

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