【韓日映像翻訳】ドラマのリライトって具体的にどんな仕事?

JUJU

あんにょんはせよ!韓日映像翻訳者のJUJUです^^

前回の記事でもちらっと触れましたが、今回は“ドラマのリライト”について説明していきたいと思います。
この記事を読む前に、“リライトとは?”を読んでおくとより分かりやすいと思います。

映像と字幕データを合わせる修正

リライトしないといけないSDBと、翻訳会社からもらった映像をSSTに読み込んでも、最初は映像と字幕が合わないことが多いと思います。
前半部分に出演者名などが出てくるオープニングが追加されたり、途中途中で出てくる歌をカットしたりするからですね。
なのでSSTの“字幕移動”という機能を使って字幕データを映像に合わせていきます。

① 映像を最初から見ていき、移動が必要なハコを見つける。(赤い丸)
② それをどこまで移動しないといけないか確認する。(水色の丸)
③ ②のタイムコードを確認する。(緑の丸)



④ ツールバーから、字幕→字幕移動を選択。

⑤ 移動させたいのがAトラックなのかBトラックなのか選ぶ。

⑥ “現在選択されている字幕のインフレームを基準に字幕を移動”→“選択されている字幕以降を移動”を選択。

⑦ ③で確認したタイムコードを右側のボックスに入力。



これでお望みの場所に字幕が移動できたはずです。
あとは字幕と映像がずれている部分をひたすら探して①から⑦の作業をひたすら続けていくのみです。
慣れていない時は70分ドラマで1時間以上かかっていたんですが、最近は早ければ30分でできるようになりました…!(普通どのぐらいかかるのか分かりませんが…笑)


ちなみにここでエラーが出る場合はタイムコードの合わせ方を間違っているということです。
その場合は下の記事を参考にしてください。

【SST】タイムコードの合わせ方は2種類ある!?


注意

最初にオープニング映像が追加されただけであれば、⑤はAB両トラックにチェック、⑥も全体を移動だけで大丈夫だと思います。

基本的な設定の修正

字幕作品は“横書きなら1行14文字まで”、“改行は2行まで”といった絶対に守らないと行けないルールもありますが、そのほかにも文字サイズや間隔、縦書きなのか横書きなのかなど、会社ごとに少しずつ基本とする設定が違ってきます。
なので次はこの部分を修正していきます。

これは大体が設定画面からボタンひとつで設定できるのでそんなに大変ではないんですが、時間がかかる部分があるとしたら“イタリックにする時の基準が違う場合”、“超過文字数の許容範囲が違う場合”、“基準とする表記が違う場合”かなと思います。

JUJU

今、私が担当している作品がまさにそのパターンです;;

イタリック関係

A社(元の字幕を作った会社)の基準

① 電話の声など機械を通した声
② 話者が映らない回想シーン
③ 映像は前のシーンだけれども、音声は次のシーンのもの
→これ画像を使わないと説明が難しいですね;;とにかく、“その空間にいない人の声”ということです…!

B社(自分が依頼を受けた会社)の基準

①から③は同じ。
④ その空間にいても顔が見えない人の声
→同じ家にいても扉越しで会話していて顔が見えない場合など

このように、A社とB社で基準が違うと追加でイタリックにしたり、逆に正体にしたりといった作業が出てきます。
私の場合、次の項目である“字幕の品質を向上させる修正”をしながら気づいたら修正+最後に全体を通しで見る時にワンシーンずつ気をつけて見るようにしながら修正、という感じで作業しています。

超過文字数関係

SSTを見ると、各ハコの下に“過剰”という項目があると思うんですが、ここの許容範囲って本当に会社によって千差万別なんですよね。
“なるべく0に近く”という会社もあれば、“分かりやすくするためなら5~6文字ぐらいオーバーするのはかまわない”という会社もあれば、“なるべく過剰は+1を目安にしてほしいけどそれだと不自然になるならまあ少しのオーバーは目をつぶります”という会社も。


なのでこの辺の認識は最初にきちんとすりあわせをしておいたほうがいいと思います。じゃないと全体的に見直さないといけないという最悪の事態になりかねないので…(脅しすぎ?)

表記関係

NHK漢字表記辞典NHKことばのハンドブックを基準とするのか、朝日新聞の用語の手引を基準とするのかも会社によって違います。
会社によっては“日本語はNHK表記を使うけれども外来語は朝日表記を使う”なんてところもあるので要注意です。


表記ゆれにつながりかねない部分なので、表記を変えた単語はメモしておいて毎回納品前に1つ1つ検索してチェックまでかけています;;

みかんさん

こういうのは自分を信じないことが大事だねㅋㅋㅋ

字幕の品質を向上させる修正

これが一番大事ですね。具体的には誤字脱字・誤訳・不自然な日本語の修正、統一されていない呼称や一人称の統一などです。
誤字脱字は説明不要だと思うのでその他の部分について説明していきたいと思います!

誤訳の修正

放送された字幕のはずなんですが、意外と誤訳もあります。
なので、1つ1つのハコを原音と訳文を照らし合わせながら丁寧に聞いていかないといけません。

それと誤訳ではなくても、2つ以上の意味に捉えられるような訳や誤解を与える余地のある訳も結構あります。
さらっと流してしまいがちな訳文に潜んでいたりするので要注意です。

不自然な日本語の修正

これも結構多いですね。ざっと挙げるとこんな感じです。

  1. 文字数を気にしすぎるあまりブチブチと切れた文章ばかりになっている。
  2. 省略すべきでない、話のポイントとなる部分を削ってしまっている。
  3. 質問と回答が噛み合っていない。
  4. 日本語にした時に省略したほうが自然な主語が原語のまま入っている。
  5. 日本語ではあまり使わないような表現(主に漢字語の直訳)が使われている。

見つけたそばからひたすら修正していくんですが、①④⑤みたいな部分ってどうしても映像を見ながらだと韓国語につられて日本語の不自然さを見逃してしまったりするんですね。
なので、まず映像を見ながら修正する時は基本的な設定の部分だったり誤訳を中心に修正して、その数日後に映像を流さず字幕データだけ見て不自然な日本語を直していくというやり方を取っています。

統一されていない呼称や一人称の統一

これも結構あります!
例えば、主人公が母親に対して“母さん”と言っていたり“お母さん”と言っていたり…。
ずっと“俺”と言っていたのが“僕”になっていたり…。
何か理由があってそうするならいいんですが、単なるミスの場合は修正しないといけないので、エクセルで表を作って管理するなど工夫が必要です!

おわりに

今回は私がドラマのリライトをする時のポイントを紹介させていただきました。
他にもあらすじ修正などもあるんですが、ここではSDBファイルの修正に関する部分をまとめてみました!
文章だけで説明するのが難しくて、分かりづらい部分があったらごめんなさい><
それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
あんにょーん^^

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