【韓日映像翻訳】映像翻訳時に役立つ辞書・書籍を大公開!

JUJU

あんにょんはせよ!韓日映像翻訳者のJUJUです^^

よく、“翻訳者こそ辞書を引く”という言葉を耳にしますが、それはもちろん映像翻訳者にもあてはまります。
最近はネットで調べれば大概のことは解決しますが、誰でも発信できる世の中だからこそ信憑性がなかったり…というのも事実ですよね;;
ということで今回は、現役韓日映像翻訳者の私が、翻訳する時に実際に使っている辞書や書籍を紹介したいと思います!

表記辞典

ご存じの方も多いかと思いますが、映像翻訳には独特の表記が存在します。
ですが、“映像翻訳なら全部同じ表記”というわけではなく、取引先ごとにどの表記辞典を使うかは変わってきます。
私が契約している会社では、“NHK表記”もしくは“朝日表記”を使うのですが、まずはそれらを調べる辞書を紹介します。

NHK漢字表記辞典

まずは“NHK表記”を調べる辞書です。
“漢字表記辞典”というタイトルからも分かるとおり、外来語は載っていません。
(“NHK表記”の外来語を調べる時は→NHKことばのハンドブックを使います。)

辞書にあるすべての表記を比べたわけではありませんが、私の体感でいうと朝日表記よりNHK表記のほうが漢字をひらく(ひらがな表記にする)場合が多いように思います。
例えば、“復讐”という単語もNHK表記だと“復しゅう”、朝日表記だと“復讐(ルビ:ふくしゅう)”となります。

朝日新聞の用語の手引

こちらが“朝日表記”を調べる辞書です。
NHK漢字表記辞典と違って、外来語や外国地名・人名などカタカナ表記の記載も豊富です。

そのほかにも“スポーツに関する用語・表現”“科学や技術に関する用語・表現”“略語集(WHOなど)”“誤りやすい慣用句”などなど、情報も盛りだくさんです。
NHK漢字表記辞典とNHKことばのハンドブックを1冊にまとめた感じですね。

表記だけでなく、情報もたくさん載っているので使いこなせたら最強だと思います。
でも私もまだ完璧に使いこなせておらず…(笑)
この“情報”の部分をもっとうまく使えば裏取りの時間も減るでしょうし、辞書としても使いつつ、もう少し深く読み込みたいなあと思っています。

記者ハンドブック

これは翻訳者さんの間では有名ですよね。
2022年に第14版が出たので買ってみたんですが、表記の違いによる使い分け、数字の書き方などを知りたい時によく使っています。その他に差別語に関する項目なども役に立ちそうです^^

コロケーション・類義語辞典

てにをは辞典

翻訳をやっていると、“助詞”で悩むことって結構多いですよね。
特に韓日翻訳の場合だと、原語は“이/가”だけど日本語にする時は“は”のほうが自然という場合もあると思います。
ですが、たまに韓国語につられるというか、“あれ、これって自然な日本語?”というのが分からなくなることもしばしば…。
そういう時に使うのが“てにをは辞典”です。

みかんさん

250名の作家の作品に登場する語と語の結びつきが60万例も載ってるらしいよ。

例えば、“翻訳”というワードで辞書を引くと、

翻訳 ▲が
   進む。出る。一行も進まない。
   ▲を
   終える。収める。(略)
   ▲に
   専念する。とりかかる。
  
   各種の。言葉の。逐語的な。
   ▲する
   暗号を。英語を。会話を。(略)

部分引用:てにをは辞典(三省堂)p.1525

こんな風に語と語の結びつきがいろいろ出てきます。

ことば選び辞典3種類

学研から出ていることば選び辞典シリーズのうち、私は以下の3冊を使っています。

漢字の使い分け辞典

これは同音異義語の使い分け方と使用例について説明している辞典です。
このシリーズはすごく薄くて小さいので、載っていない表現もあるとは思いますが、持っていると便利です。

ことば選び実用辞典

これは、あるキーワードから連想される言葉を調べられる辞典です。
“これってもっとカッコいい表現あったはずだけど思い出せない…”という時に使えるヤツですね。

例えば“黒い”で辞書を引くと、

光がささず真っ暗である。【暗黒】
裏で指図や画作をする者。【黒幕】
漆のように光沢のある黒。【漆黒】
…途中略
そのほかの表現
黒み/黒黒/烏の濡れ羽色/どす黒い/真っ黒/ブラック/ノワール(黒)

部分引用:ことば選び実用辞典(学研)p.129

このように、“黒い”から連想される単語と、“黒い”を表現するいろいろな表現が出てきます。
文章を書く幅が広がりますよね。

感情ことば選び辞典

映像翻訳って、同じ表現が連続するのはなるべく避けるようにするんですよね。
例えば、バラエティーとかで複数の人が“うれしい”、“悲しい”といった表現を何度も繰り返していても、少しずつ違う表現に変えて翻訳する、ということですね。
そういう時に使えるのが、この“感情ことば選び辞典”です。

これは、調べたい感情キーワードで辞書を引くと、“ことば選び実用辞典”のように関連する漢字語が出てくるんですが、私はそれよりもそのあとに記載されている“参考項目”を参考にしています。

NHKことばのハンドブック

これは類義語辞典や表記辞典の機能もありますが、間違いやすい日本語や言い換えたほうがいい表現などを説明している辞典でもあります。
いろんな情報が載っているので、前半の用語集の部分は普通に読んでいても“そうなんだ!”と思う部分が多くて面白いです。

オノマトペ辞典

일본어 의성어 의태어 꼬마사전

일본어 의성어 의태어 꼬마사전

日本では売っていないかもしれないのですが、翻訳しているとオノマトペでつまずくことって結構ありますよね?
そういう時によく使っている辞典なんですが、韓国語の索引はなく、「말하다」「흔들리다」「촉감」のように状況や種類で辞書を引く感じです。

専門用語

일본어 전문용어사전


【韓国語教材】日本語専門用語辞典

社会、労働、法律、政治、国際関係、マーケティング/広告/リサーチ、流通、経済、環境、エネルギー、半導体/ディスプレイ、鉄鋼、港湾/物流、情報通信に関する専門用語が乗っています。
韓国語と日本語の索引が付いているので、日→韓翻訳をする時にも使えそうです。
法律系のドラマや金融系(株系)のドラマを担当した時にお世話になりました。

警察用語の基礎知識

この本は警察がメインのドラマを訳した時にすごく役立ちました。
それ以外のドラマでも、警察がちょこっと出てきたりすることは多いので、そういう時にも役立っています。
辞書ではないので語り口調で少し回りくどく感じる部分もあるんですが、似たような単語の違いを詳しく説明してあったのが個人的にはとても助かりました。

英和ファッション用語辞典

ファッションがメインのドラマを訳した時に購入しました。
商標も載っているのですが、何気なく一般名詞のように使っていた単語が実は商標だったと知ることができたり、目からうろこな情報が満載です。
そのドラマを訳していた時は、いろいろな理由で造語するしかない場面がよくあったんですが、用語の意味を知ることで造語の役にも立った気がします。

歴史

韓国時代劇・歴史用語事典

これは残念ながら今は電子書籍しか売られていないみたいで、私も電子書籍しか持っていないんですが、韓国の歴史的なことを調べたい時にすごく便利です。
固有名詞もそうですし、昔の身分・官職などを調べる時などにも重宝します。
ただ、索引にハングル表記がない(漢字表記・韓国語のカタカナ読み表記)のと、ページ数が書いていないのがちょっと不便です。
地道に“ここにありそうだな”というのを目次から見当を付けて使っていますが、いつか改善されないかなあ…なんて思っています。
でも、情報的にはすごく分かりやすいのでオススメです!

現代語古語類語辞典

ツイッターで他の韓日映像翻訳者さんがオススメしていたのを見て購入しました!
時代劇の翻訳の時にとてもお世話になった辞書です。
現代語で辞書を引き、古語の類義語を探すわけですが、いつ以降使われていた言葉なのかというのも載っているので担当している時代劇の背景に合わせて言葉を選べます。
また、外来語からも古語の類義語を探せるのが個人的には結構助かりました。
もう少し大和言葉の類義語が載っていたら完璧かなと思うのですが、時代劇の心強いお供です^^

その他

辞書に載っていない韓日辞書|이거 일본어로 뭐지?

辞書に載っていない韓日辞書|이거 일본어로 뭐지?

韓日辞典は基本的にはNAVERやアプリを使っているんですが、それにプラスして“普通の辞書には載っていない表現”を紹介する辞書も使っています。

これは日本からも買えるのか分からないのですが…新語なども載っていて結構使えます。
“文化・娯楽”、“飲食”などなどシチュエーションごとに分けられていますが、韓国語の索引もあるので使いやすいです。
そのほかにも“日本にはない韓国の漢字語”なども紹介されているのでそのあたりは読み込んで頭に入れておけばきっと役に立つと思います。

おわりに

今回は私が韓日映像翻訳をする時に使っている辞典・書籍を紹介しました!
あとは書き手用の国語辞典も欲しいなあと思っているのですが、国語辞典にも結構な種類があるのでどれにするかまだ迷っています(笑)
そのほかにも、韓日翻訳の勉強に使える書籍もいくつかあるので、また改めて記事にしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました^^

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