【映像翻訳の沼にハマる】第3回 仕事を通して입덕した話&フィードバックは分析せよ

あんにょんはせよ!
現役韓日映像翻訳者JUJUが綴る不定期連載の【映像翻訳の沼にハマる】も第3回を迎えました!(拍手)

ということで今回は私のエピソードに加えて仕事術(というほど大したものではありませんが)についてもちょっぴりお話したいと思います。
これまでのエピソードはこちらからどうぞ。

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仕事を通して芸能人に입덕した話

第2回でもお話ししましたが、私はある俳優さんがきっかけで韓国語の勉強を始め、韓日映像翻訳に興味を持つようになりました。
ですが、その俳優さん以外には特に“推し”といえるほどの芸能人はいませんでした。


K-popは、高校の修学旅行で韓国に来た時、偶然ロッテワールドでWonder Girls のステージを見て「Nobody」のCDを買って以降は特にハマらず(笑)
韓国語の勉強を始めた2015年からは韓国語に耳を慣らすためにも最新曲を広く浅く聴く、という程度でした。

そんな私を입덕させた歌手のライブへ…

韓日映像翻訳の場合、バラエティーから入る場合が多く、その後もバラエティーを主に担当しているという方も多いと思います。
音楽番組やオーディション番組も多いので、必然的にK-popに触れる機会も多いと思いますが、私もそんな翻訳者のうちの1人です。

映像翻訳を始めて約1年ほど経った頃、あるバラエティー番組を担当することになったのですが、その番組はサバイバル番組というか、歌手がいろんなテーマで競い合って、最終的に1位を決めるという番組でした。


既存の曲をステージで披露することもありましたが、テーマに合わせて曲を作ることもあったので、曲を作る過程、ステージを構成する過程も見たうえでステージを鑑賞するという流れでした。その他にもプライベートな部分も見せてくれたりして、人となりも見ることができる番組だったので、입덕要素がわんさかあったのです(笑)

人混み嫌いな私も推しのためなら耐えられる。

私もこの番組でまんまと1人の歌手にハマってしまって、番組を担当している間にその歌手のデビュー時からの曲を収録曲まで全部プレイリストに入れて毎日聴いていました。(笑)
どのくらい聴いていたかというと、全く興味を持っていなかった夫まで、イントロを聴いただけで何の歌か分かるようになるくらい、です(笑)

1人で行く勇気もなく、コミュ障なので夫を連れていった単独ライブ。

そんなこんなで結局その歌手が優勝したんですが、最終回で1位になった感想を話す時にはボロッボロに泣きながら翻訳しました(笑)
何か私、第1回でも仕事をもらえて大興奮、第2回でも推しの言葉を訳せて手が震える、第3回ではボロ泣きと、ちょっとヤバい人みたいですね。でも、振り返ってみたら担当する番組には何だかんだで愛着が湧いてしまってる気がします。

ちなみに仕事を通してハマったその歌手は、ライブも2回ぐらい行きました。생일광고に参加するという初体験も果たし、実際に見に行って写真も撮りました。
ここまでハマった歌手って、本当に久々な気がします。
コロナが落ち着いて、ライブやフェスに行けるようになる日が待ち遠しいです…!

フィードバックは分析すべし

この連載を読んでいただいてる方の中には、映像翻訳者を目指している方もいらっしゃると思うので、そういう方のために映像翻訳の流れについて説明してから本題に入ろうと思います。

映像翻訳は、翻訳者が翻訳したものを翻訳会社がチェックして、それを配信会社などに納品するというのが一般的な流れです。
翻訳会社の方からどういう指摘を多く受けるか確認するのももちろん大事ではあるんですが、翻訳会社から指摘される事項というと誤字脱字誤訳不自然な日本語など“明らかな間違い”に関するものが多いはずです。
なので正直言うと、これは“分析すべし”というよりは“間違うべきでない基本”ということにもなりますよね。
つまり分析も何も指摘されたことを受け入れて次から間違わないようにするしかないわけです。

みかんさん

それがなかなか難しいんだけどね…

私がここで言いたい“フィードバック”とは“最終納品先からのフィードバック”のことです。これはくれる会社もあればそうでない会社もあるので、もし最終納品先がフィードバックをくれる会社であれば、ぜひ分析してみてください。そうすればその会社の“好み”が分かってくるはずです。

分析のしかたは自分のやりやすいようにでいいと思うのですが、一例として私のやりかたを紹介しておきます。

私の取引先の場合、フィードバックは大概このようにSDBファイルを戻す形で送られてきます。
これは私が適当に作ってみた例ですが、上の欄(原文欄)に元の訳を移動して、下の欄(字幕欄)に修正訳を入れることでフィードバックとする会社が多いです。

なのでこのSDBファイルをエクセルにエクスポートして、原文欄にデータがあるものだけをフィルターで絞り込めば、修正された部分だけを確認することができます。

あとは絞り込んだデータと、必要に応じてSSTで映像&SDBを確認しながら“なぜ修正されたのか”を1つずつチェックして書き出していきます。
そうすると、例えば“この会社はなるべく文字数が少ない訳を好むんだな”ということが分かると思います。


その他にも“流れに必要なさそうな相づちとかは削除してしまっていいんだな”とか“この単語はこの会社では漢字を使うんだな”という部分や、特定の単語や表現の訳し方などなど“間違いではないけれどこの会社が修正したいと思うポイント”が見えてきます。

そういったポイントを番組ごとに整理をしておけば訳す時にも役立ちますし、翻訳会社の方に共有しておけばムダなチェックも入らなくなります。会社ごとの好みを自分だけ把握していると、それに合わせた翻訳をしても翻訳会社から修正依頼を受けることも多く(特に表記)、説明するのが二度手間になりますからね。

ただ、ここで注意したいのが“どんなに分析をしてもなぜ修正する必要があったのか分からない訳は必ずある”ということです。
最初に言ったとおりここで分かるのはあくまでも会社の“好み”なので、全部が全部合わせようとする必要はありません。というか無理です(笑)
ですが、修正した理由が分かる部分、反映できそうな部分を次回以降の翻訳に生かせば、徐々に最終納品先が求める字幕に近づいていけるはずです。
そうなればフィードバックが減るなど目に見える変化が現れますし、もっと言うと“あの人に担当してもらいたい”とご指名いただくこともあるかもしれません。
大量のフィードバックが来ると最初はげんなりしてしまうかもしれませんが、むしろ自分の対応力をアピールするチャンスだ!と思ってひたすら分析しましょう!ファイト!(誰)


【映像翻訳の沼にハマる】第3回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回の更新もお楽しみに!

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